【最近の研究】非接触に血中酸素飽和度を計測

ちょっと面白そうな論文を見かけたので,備忘録代わりに概要だけ.

Lingqin Kong, et al, “Non-contact detection of oxygen saturation based on visible light imaging device using ambient light”, OPTICS EXPRESS, vol.21, no.15, pp.17464-17471, 2013

タイトルの邦訳:「環境光を用いた可視光画像デバイスに基づく酸素飽和度の非接触検出」

可視光画像デバイスということは,赤外カメラとか暗視カメラのような特殊なカメラではなく,普通のCCDカメラのこと.酸素飽和度というのは,血中酸素飽和度のことだと思いますが,これは酸素不足になれば値が下がるもので,医療の用途だけでなくたとえば登山のときにも必要になる生体データです.

従来はパルスオキシメータを用いて測定するので,センサを指にはめないと測定できませんでしたが,CCDカメラを用いて非接触にこれを実現しようという論文のようです.

Optics Expressというジャーナルは知らなかったけど,2014年のインパクトファクタが3.488なので結構良いほうです.Abstractは以下.

A method that remotely measures blood oxygen saturation through two
cameras under regular lighting is proposed and experimentally demonstrated. Two narrow-band filters with their visible wavelength of
660nm and 520nm are mounted to two cameras respectively, which are then used to capture two photoplethysmographic (PPG) from the subject
simultaneously.

The data gathered from this system, including both blood oxygen saturation and heart rate, is compared to the output of a traditional figure blood volume pulse (BVP) senor that was employed on the subject at the same time. Result of the comparison showed that the data from the new, non-contact system is consistent and comparable with the BVP senor.

Compared to other camera-based measuring method, which
requires additional close-up lighting, this new method is achievable
under regular lighting condition, therefore more stable and easier to
implement. This is the first demonstration of an accurate video-based
method for non-contact oxygen saturation measurements by using ambient light with their respective visible wavelength of 660nm and 520nm which is free from interference of the light in other bands.

通常の光の照射の下で,2つのカメラを通して血中酸素飽和度を遠隔測定する手法を提案する.可視光の波長が660nmと520nmである2つの狭帯域フィルターを各々2つのカメラに装着し,被験者から2つの光電式容積脈波(フォトプレスチモグラフ;PPG)を同時にキャプチャするために使用される

このシステムから取得される血中酸素飽和度と心拍数を両方含むデータは,被験者に対して同時に装着された従来までの容量脈波(BVP)センサーの出力値と比較された.その結果,新しい非接触システムから得られたデータはBVPセンサーのものと一致し,同等であることがわかった.

部分的に照射することを必要とする従来のカメラに基づく手法と比較した結果,我々の新しい手法は通常の光環境の下で測定することができ,それゆえ,より安定的に容易に導入することが可能である.本論文は,他の帯域における光の干渉を受けない660nmと520nmの可視光の波長を伴う環境光を用いて,非接触に酸素飽和度を計測するためのビデオに基づた精度の高い手法の最初の立証である.

英語の意味はわかるんですけど,和訳すると変な日本語になっちゃいますね(笑).翻訳家ではないのでその辺はごめんなさい.

520nmと660nmの帯域に着目ってことは,おおよそ緑と赤ってことです.通常の画像におけるRGBの3チャネルにおけるRとGをそのまま使用するのではないようです.そこに「環境光でもOK」という新規性があるのかもしれません.画像から酸素飽和度を測定する研究が以前からあったのにちょっと驚きです.

もしこれが実用化されれば,スマホから酸素飽和度を測定できるようになる日もそう遠くはないのかもしれません.