雑記:おっさん研究者の日常

「科研費の獲得金額 = 研究の価値」という価値観

申請者の心理

今もらっている科研費が来年度で終了するので,2017年は書かないといけません.昨年の様子を見てると、みなさん大型予算を当てることを目指しているようで・・・

「今回は誰々を共同研究者にして基盤Aで出す!」
「絶対5000万円とってやる!」
「基盤Cなんて少額すぎるからなー」

などと鼻息が荒くなっています.私は少額の基盤Cをもらってますがそれが何か? と言いたくなりますが(笑),なんだか大きな金額を当てることしか意味がないと言わんばかりです.

科研費は研究を遂行する上で必要な経費を申請するわけだから,少額で足りる研究なら無理にモノを買うような計画を立てるのは本来おかしいのです.必要な人員が足りている研究テーマであれば,無理に増やして人件費を多めに申請するのもおかしいのです.

まるで研究の価値が金額で決まるかのような風潮にどうも違和感を感じざるをえません.どうやったら大型資金を獲得できるのかやっきになっているけど,そういう考え方はそもそも研究の本質から外れてるように思えます.

研究費300万円でノーベル賞!

ノーベル化学賞を受賞した白川英樹筑波大名誉教授は,定年までの34年間に獲得した科研費の件数は24件で総額6900万円だったといいます.出典はこちら↓

単純計算すると1件当たり平均で288万円!ノーベル賞受賞者が獲得した資金とはとても思えないほどの少額です(科研費以外の外部資金も含めて合算すると総額で1億8000万円ほど獲得したとのことです.だけど,基盤(S)で1件当たり5000万〜2億円であることを考えれば何と少ない額なんだと驚きます).

もちろん,当時の物価を考えると単純比較は出来ないけど,金額だけで見れば,失礼ながらごくごく普通の研究者レベルです.

私はこれまで大型資金の獲得にやっきになっている人たちを見ていてずーっと違和感を感じてましたが,白川先生のこの金額をみて大変勇気づけられました.そうです.研究の価値は研究費の額で決まるものではないのです.

今後,研究遂行上どうしても大型資金が必要になったときは狙いに行きます.でも,最初から大型資金ありきな考え方で研究テーマを考えるようなことは絶対しないと思いました.

多額の研究資金は研究のためにあらず

科研費の一部は,研究を遂行する上で必要となる事務的な諸経費として割り当てられ,使途の定められていない間接経費に化けます.間接経費の扱いは大学によって異なりますが,大抵は申請者の自由にはならず,大学の運営資金として吸い上げられてしまいます.つまり,大学経営にとって間接経費も重要な資金源になるわけです.

したがって,高額の科研費を獲得した人は間接経費も高額になるので,その分,職場への貢献度が高いと評価されます.そういう人は学内での発言力が高まるので,結局は学内の政治権力のために高額の外部資金を目指しているような人もいるかもしれません.

だけど・・・

私は,科研費を本来の研究目的のために獲得するのがスジじゃないかと思います.バカ正直と言われても,そういう本質を見誤らないで(研究に限らず)仕事をこなしていくことが長い目で見れば信頼につながるのかなと思います.そして,規模が小さくてもそういう実直な研究成果を積み重ねることで,次の科研費獲得にもつながっていくと思いますし,職場での評価にもつながるのだと思います.

ま,権力などに全く興味無いから言えるんですけどね(笑)

さあて,来年度も獲得できるように頑張ろうかなー.

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。