シュリーマンの語学学習法の謎

昨日、書店で「古代への情熱」をちょっとだけ立ち読みしました。

トロイア遺跡を発掘したシュリーマンの自伝なのですが、私が興味があるのはトロイア遺跡でも古代文明でもなく、シュリーマンの語学学習法です。

改めて「古代への情熱」を再読することで、シュリーマンがどうやって外国語をマスターしたのか、該当箇所を確認してみました。

ちなみにシュリーマンは、15ヶ国語をマスターしたと言われています。最初に英語を6ヶ月でマスター、次にフランス語を6ヶ月でマスター。この2つをマスターするとかなり記憶力が強化されたらしく、その後イタリア語など主要な欧州言語をマスターするのに、それぞれ6週間かからなかったといいます。それホントかいな?と疑っちゃうくらいのレベルです。

そのシュリーマンが「古代の情熱」で述べている勉強方法は以下でした。

  1. 非常に多く音読すること
  2. ちょっとした翻訳をすること
  3. 毎日1回は授業を受けること
  4. 関心のあることについて作文をすること
  5. 作文を教師により添削してもらうこと
  6. 添削された文を暗唱すること

ちょっと不思議なのは、私が以前どこかの書籍で知ったシュリーマンの勉強法には、「毎日1時間勉強すること」「翻訳しないこと」という2つがあったような気がします。でも、今回私が立ち読みした限りでは、そのような記述がありませんでした。

この勉強法において、最後の4,5,6の方法は明快で疑問の余地がありません。

また、1も同時通訳の神様と言われた國弘正雄など、多くの英語スペシャリストの方々が提唱する学習方法なので、これもよく分かります。

問題は2と3。「ちょっとした翻訳」とは一体なんでしょうか?また、毎日1回受けた「授業」とは具体的にどのような内容だったのでしょうか?

Schliemann

シュリーマンの勉強方法の2と3は?

ここからは勝手な想像になります。2で述べている「翻訳」ですが、通常翻訳というと自分の母国語の文章に丁寧に書き換える和訳のようなものをイメージしますが、おそらくそういう意味ではないと思います。ある程度のレベルになれば、母国語を介さないで外国語を外国語のまま理解するようにしなければなりません(いちいち頭の中で翻訳していたら時間がかかって会話にならない)

だけど、外国語学習の初期では、文法知識を援用して外国語の文章の意味を母国語で理解するという翻訳のプロセスがどうしても必要です。シュリーマンが言ってる「ちょっとした翻訳」とはそういう意味なのかなと思います。

「古代の情熱」をもっと読み込んだら、そのあたりの詳細が述べられている可能性がありますが、なにぶん立ち読みなので(笑)

あと、3も抽象的でよくわかりませんが、教師の用意した教材と教師の進行速度に合わせた普通の授業(今でいう英会話教室)を受けたとはちょっと考えられません。それでは、一体どんな授業を受けたのでしょうか?

おそらく「発音の矯正」ではないかと思います。6で添削された作文の内容を暗唱してますので、これを暗唱だけで終わらせることなく、教師の前で朗読し発音やイントネーションを矯正してもらったのかな?と思います。

CDも何もない時代に、ネイティブの発音を聞いたり真似たりというのは、教師を雇わない限りほぼ無理だったでしょうからね。

我々はなぜ短期間で語学を習得できないのか?

シュリーマンのように15ヶ国語を話せる人は極端かもしれませんが、欧米では2、3ヶ国語を話せる人はそんなに珍しくはありません。だけど、我々は英語1つだけでも大変苦労してます。その理由は何でしょうか?

一番大きな理由は、シュリーマンの母国語がドイツ語だったことだと思います。ご存知のとおり、ドイツ語と英語は同じゲルマン語派に属する兄弟のような関係。もっと言えば、欧州系の言語はすべて親戚関係であって、互いにかなり類似しています。これは、外国語学習にとって非常に有利な点です。

日本語は欧州系の言語(インド・ヨーロッパ語族)に属さない全く異質の孤立語で、文法から語彙、発音に至るまで類似性はほとんどありません(外来語を除く)。したがって、シュリーマンと同じ時間勉強しても、欧州系の言語を同程度にマスター出来るとはちょっと考えられません。

逆に言えば、たとえば日本語と韓国語は、文字、語彙、発音は全く異なりますが文法(文の構造)は非常によく似ています(言語学的な親戚関係ではないようですが)。我々日本人が本気で勉強すれば、数ヶ月で韓国語を流暢に話すことが可能というのを聞いたことがあります。実際、知り合いにそういう人が何人もいました。

欧州の言語が世界の主流である以上、我々日本人が苦労するのはある意味やむをえないところがありますね。韓国人も日本人と同様、英語に苦労してます(日本人より出来ますけどね)。

最後に、ちょっと興味深いブログを発見しましたので紹介します。

シュリーマンの学習方法をそのまま実践してドイツ語を勉強した結果、独検2級レベルの実力をわずか7ヶ月で習得したという方です(ブログはこちら)。すごいですね!

この方の結論として、「勉強して7ヶ月というと驚かれるくらいの実力にはなれる」と仰ってますので、短期間でマスターすることを目指すのであれば、シュリーマンの学習方法はかなり有効なのではと思います。かなり辛いらしいですが・・・・

え?ワタシ?

うーん・・・やってみようかな。でも宣言は出来ない(苦笑)