【TEDとは違う】学会発表における理系英語プレゼンの方法

なんて偉そうなタイトルを書いてしまいましたが,私自身,英語のプレゼンのスキルは全然大したことありません.留学した人たちのような恐ろしくウマい英語プレゼンなどはかなり難しいです.そりゃそーです.国内にいたら毎日英語を喋ってるわけではないですから.

だけど,すでにアラフォー(アラフィフか?笑)世代の私は一応曲がりなりにも英語プレゼンをそれなりの数こなしてきました.恥ずかしい経験もたくさんしてます.そんなエリートとはほぼ遠い私のような人間が考える英語プレゼン対策というのも,参考になる人がいるかもしれないと思ったので書きたいと思います.

英語プレゼンのキモ

私の考える英語プレゼンのキモって何か?って言うと,結局は何を伝えるかということだと思うんです.

「何言ってんだ?そんなの当たり前だろ?」

と思われるかもしれません.当たり前のことなんだけど,そのことをきっちり考えてスライドを作ってる人がどれだけいるか疑問に思っちゃうような発表をよく目にします.ぶっちゃけ,それさえしっかりしていれば,英語なのか日本語なのかはあまり重要ではないのです

そう,ロジックがしっかりしてきちんとまとまったスライドが完成していれば,発表時の英語がヘタクソでも相手は理解してくれる. あとは,スライドのレイアウトの見やすさ,ポンチ絵の効果的な使い方,文字の量や大きさ,フォント,色のバランス,デザインも非常に重要です.

ただの見た目の問題と思うかもしれませんが,商品を売るにはパッケージが中身と同じくらい重要.プレゼンも同じ.聞き手の興味を惹くには見やすいスライドであることが非常に重要です.

意外と思われるけどシャベクリは二の次!

他には,英語の発音,喋ってる時のアイコンタクトや身振り手振り,適度なジョークなど,玄人的なテクニックもありますが,そんなことは二の次でOK.ヘタクソな発音で喋ってもいいし,ジョークの欠片もないクソ真面目なプレゼンでいいのです.

先ずはスライドだけで研究内容が相手に伝わるような工夫をしましょう. 特に理系は数式や化学記号という万国共通の言葉があるわけで,人文社会系の研究者に比べるとはるかにラクだと思うのです.ロジックを言語ではなく数式とかグラフで表現できちゃったりするわけですからね. 発表に関するテクニカルな問題は,スライドに始まりスライドに終わる.シャベクリは二の次です.

このことを言うと,どうも不満たらたらの人が多くて驚いちゃいます.おそらく,TEDとかの影響なのでしょうか.語りで何かを伝えることこそがプレゼンだという認識があるのでしょう.

TEDは自分を語る場,学会は研究成果を報告する場

TEDのプレゼンは確かにカッコいいです.だけど,あそこで話している人は何を相手に伝えているのでしょうか?それは自分自身です.つまり,聴衆に聞かせるコンテンツはプレゼンター自身なのです.そして,それを聞いてる聴衆もそういう内容を期待して聞いています.

だけど,学会に参加している人たちは何を期待して発表を聞いているのでしょうか?言うまでもありません.あなたの研究成果です.あなた自身に興味のある人は誰もいません.その証拠に,あなたの代わりに他の人が代理で発表したところで,がっかりする聴衆は誰もいません.ところが,TEDでは代理は不可能です.

いいですか?ここ重要です.学会で聴衆が期待しているのはあなたのやった研究成果です.あなた自身ではありません.特に若い学生さんの研究発表を聞いていると,何を勘違いしたのかまるでTEDのようなプレゼンをする人をたまに見かけますが,勘違いも甚だしい.指導教員は何を指導してるんだろうかと聴衆は心の中で苦笑してますよ.

もちろん,TEDがすべて悪いとはいいません.就活など自分自身を売り込むような場では,非常に効果的だと思います.要は,聴衆が何を求めているのかしっかり考えた上で,どんなプレゼンをすべきか考えるべきだということです.

プレゼンに話術は必要なし

だけど,正直言って海外の研究者のスライドはお粗末です.企業技術者の方のスライドも全然イケてないし,非常に分かりづらい.学会ではそういうスライドが多いのも確かです(他分野はよく知りませんが).プレゼンというと話術で伝えるものと考えてるからスライドがおざなりになるのかもしれません

だけど,彼らはそれでいいんです.なぜなら,話術で相手を理解させられるくらいの高度な英語力がベースにあるわけですから.それに加えてスライドも丁寧に作ってあれば,もっと聴衆は食いつくんだけどもったいないなと思うことが多々あります.でも,私を含め英語に難がある大多数の日本人はそんな真似をするのは危険です.

なぜなら,いくら丁寧に口で説明しても,分かりやすく纏まったスライドがなければ,聴衆はこちらが期待するほど話についてこれませんから.ましてや,相手にとっては非常に聞き取りづらい日本語訛りの英語でしゃべるわけです.語りで伝えようなどと考えるのはリスクが大きく,少なくとも学術会議ではやめたほうがいい.

先ずは話術にこだわる前に「スライドだけで相手に伝わるようにする」という意識を持つべきです.それが英語プレゼンの最初のステップです.聞き手の反応が段違いによくなります.

見てくれなど気にするな

私のやり方は,スライドの見た目にはこだわりますが,TEDのようなプレゼンにはほぼ遠いのでカッコ悪いかもしれません.でも,かっこ悪くてもいいじゃないですか?すばらしい研究成果であれば,泥臭いプレゼンでも十分かっこよくなれます.たとえば,カズダンスは多くの伝説を作り上げたキング・カズだから許されるんです.これが無名のJ2の選手だったら,

「そんなパフォーマンスする暇があったらもっと点をとってJ1に昇格する方が先だ!」

とサポーターから袋叩きにあうのがオチ.世界中の学者たちが集まる国際会議だって同じです.私が大学院生のころ国際会議に初参加したとき,ある若い韓国人の先生から,

「スーツなんて着てこなくていいんじゃない?大事なのは(研究の)中身だよ.」

と日本語で言われました.今でも鮮明に覚えています.なにも服装だけに限りませんよね?私の中では今でも座右の名になってます.