「専門職大学」の真の思惑は,短期大学や専修学校を潰すことにあるのでは?

Yahooニュースによると,政府が「専門職大学」の設置を構想しているらしい.

政府は、実践的な職業教育や技能訓練を行う高等教育機関として「職業教育学校」を設置する方針を固めた。

高校卒業後の進学や、社会人の専門知識の習得を想定している。学校は新設せず、希望する既存の大学や短大などに職業教育学校へ転換してもらう考えだ。4日の政府の産業競争力会議(議長・安倍首相)で原案が示され、月内にまとめる成長戦略の柱とする。

言うなれば,医学部,歯学部,看護学部,教育学部,ロースクールのように職業に直結する大学を作りたいということのようです.中教審の答申によると「分野を限定しない」らしいので,通訳養成とか,デザイナー養成とか,そういう大学もありうるわけだ.

そうなると問題となるのは,教育の質の保証というものをどうするのか?という点.研究重視の大学だったら,いくらでも研究の質の保証するための客観的指標はあるけどね.その点に関しては,こんなことが書かれてました.

卒業者の社会における評価等(例:学生の資格・検定試験等の合格率,卒業者に対する就職先企業からの評価,学生の授業評価の結果等)についても情報公開を義務付ける方向とするとともに,自己点検・評価や第三者評価の指標としても活用し,評価結果の公表を通じて社会へと発信していくことについて,その具体的在り方を今後検討することが必要である.

うーん,やっぱその程度しか方法がないのかなぁーと思っちゃいました.だって・・・

結局のところ,教育の質というものを客観的に評価することが難しいからね.それは今回の新設の学校種に限らず既存の大学でも同じで,それが解決されないうちは質の高い教育を「組織として維持する」ことは難しい

それに,自己点検や外部評価なんて,でっち上げるのはいくらでも可能.ある私大では,監査の前に人事異動が行われ,監査が終わったら元のポストに戻すようなことをやってるとか.本当かどうか分からんけど,そんな噂を聞いたことある.まぁ,外部評価もなしで野放しになるよりマシかもしれんけど,少なくとも教育の質保証になってないよな.

そう考えると,やっぱ学生の資格試験の合格率が一番わかりやすい評価方法になる.だけど当然の帰結として,専修学校や予備校みたいに「受験対策に特化した授業」が展開されるようになる.必ずしもそれが悪いとは言わないけど,そういう教育は現状の専修学校や短期大学でも十分役割を担ってる.わざわざ新たな学校種を設置する必要性があるのだろうか?

ここまで考えると,そもそも

「なぜこのような専門職大学を作ろうとしているのか?」

という疑問を抱かざるを得ない.

で,私のうがった見方になるけど・・・

おそらく,政府は専修学校や短期大学などを一掃したいのではないか?と思うのです.そして,高等教育機関として,基本は4年制大学に一本化したいという思惑が見え隠れします.

ただ,文科省が直接手を下して短大や専修学校を潰すことはできないので,専門職大学を新設し従来まで専修学校や短期大学が担っていた役割を大学が奪い取ることを目論んでいるのだと思います.そうすれば,少子化と相まって専修学校や短期大学は定員割れで自然消滅する.

もともと短期大学は,大学設置基準を満たせず4年制大学に移管できなかった学校に対して暫定措置として認められていた学校種.もともと消滅する運命にあったので,歴史的経緯から見ても文科省が少子化に合わせて短期大学自体を消滅させたいと目論んでいても不思議ではない.

ただ,専修学校は大学とは異なるニーズがあるため,完全にゼロになることはないと思います.ですが,現状よりかなり数が少なくなることになることは間違いない.なので,

大多数の専門職大学+少数の専修学校

という図式が近未来の職業系高等教育機関の姿かもしれません.これにより,少子化によって経営不振となっている地方国立大学にも生き残るための新たな方向性が見えてくるわけです.「新設せず既存の学校に転換を求める」と国は言ってますから.