通訳ガイドのアドバイスは英語学習の参考になるか?

英語学習の方法を書いた本は実にたくさんあるけど,今回はプロの通訳ガイドの方が書いた「今度こそ本気で英語をモノにしたい人の最短学習法」を読んだので,その感想を述べたいと思います.

一言で言うと,なかなか強烈な勉強をしてきた方です.英語を職業としている人ですから,当然といえば当然なのかもしれませんが,私のような普通のアマチュアが勉強するには,鵜呑みにするとダメなこともいくつか書かれてるような気がします.賛同できる点と賛同できない点を以下に述べたいと思います.

賛同できる点

  1. 体験から言う.学校英語はほんとに素晴らしい
  2. 1に文法,2に語彙
  3. TOEICより英検がオススメ

これらは筆者の書いてあることに全面的に賛成するので,ここでは特に何も述べません.一方で,賛同できない点は,

  1. ほとんど効果の期待できない「音読」と「速読」
  2. リスニングせずに「聴く力」を高める方法

この2つです.

音読は英語学習の最重要項目!

まず,1について.私はやっぱり音読と速読は重要だと思います.特に英語を英語のまま理解するための下地は音読をしないとなかなか身につかないと思います.もちろん,念仏のようにボーッと口を動かすだけでは全く意味がありませんが,自分が誰かに語りかけているような妄想と共に音読すると,とても効果があると思います.

私自身,年に1, 2回海外でプレゼンすることがありますが,そのときはスライドと共に聴衆に語りかけるように何度も何度も口に出して練習します.変にネイティブっぽく早口で喋る必要は全くないので,自分の主張すべき点や強調したい点を,時には間を開けたり,ゆっくり喋ったり,声量をあげて聞き取りやすいように考えながら練習します.

こういう練習を何度もした後は,自分の英語の感覚が格段に向上しているのが自分でも分かります.これは発表練習(すなわち,音読ですね)のおかげ以外の何物でもありません.日本に戻ってきてしばらく経つと元に戻っちゃうんですが(苦笑)

ちなみに余談ですが,日本人研究者の中には,下手な発音のくせにカッコつけて早口でペラペラまくしたてる人もいるんですが,大抵は聴衆に伝わっていません.それも若い人じゃなく,それなりの年齢のベテランだったりするので,つい苦笑してしまうこともあります.プレゼンの本質は英語じゃないんですけど,わかってないですよね(苦笑).

速読ができないと会話も何もできない

次に速読ですが,これも訓練なしでは無理ですね.ゆっくり読む精読しか知らないと,たとえばTOEICのような短い時間で長文を読まなければならない試験では到底対応できません.

私の場合,10年くらい前の話になりますが,語彙制限された物語(Oxford Bookwormシリーズやペンギンなど)をできるだけ速く読む訓練をしたことがあります.いわゆる速読です.語彙制限本なので辞書の必要なし.1冊1時間以内という制限をかけて.

一週間くらいかけて10冊くらい読んだ頃から,英文を読むときの感覚が明らかに変わりました.その直後に受けたTOEICで,リーディングセクションが一気に100点アップしました.ちなみに当時これ以外の学習は一切してません.これが,速読の効果と言わずしてなんの効果と言えるでしょうか?

それに,速読と言ってますが,超人的なスピード(数分間で1冊)で読み進める「速読法」のことではありません.普通に日本語の文章を読むスピードより,やや遅いくらいのスピードで読み進めることです.ぶっちゃけ言うと,その程度のスピードで英語を理解する能力がなかったら,そもそも会話すら出来ないのではないでしょうか?辞書を引きながら精読だけしていても,このような速読は身につくわけがないのです.

この本の筆者の方は,音読も速読も必要としない「語学の才能」をもともと持ってらっしゃるのではないかと思います.

発音記号だけで聴き取れるようにはならない

次に2番目.リスニングせずに聴く力を高める方法.ここで筆者は,発音記号だけで聞き取れるようになると言ってます.だけど,これもそうなのでしょうか?

確かに難しい単語ほど発音はむしろ簡単なくらいです.発音記号をみるだけでもなんとかなると思います.だけど,短いスペルで一瞬で聞き逃してしまうような単語をしっかり聞き逃さないようにするには,やはりリスニングの訓練は欠かせないのではと思います.

実用を考えた時,聞き取りで最も重要なのは,TOEICのような綺麗な発音を聞き取るのではなく,むしろ訛りや癖のある英語を聴き取ることです.とんでもない発音の人たちもザラにいますし,英語なのかどうかさえ判別できないくらい崩れた発音の人もいます.このような訛りの強い発音を聞き取れるようになるには,たくさんの英語をリスニングする以外に方法がないと思うのです.

筆者は,スペイン語の通訳ガイドもこなしており,さらに職業柄多くの外国人の癖の強い英語を常日頃から耳にしているでしょうから,そのことが当たり前になっていて特に意識しないのかもしれません.

でも,日本で生活し,特に意識しないと日常生活で英語を耳にする機会がほとんどない私にとって,やはりリスニングは必要な学習だと思ってます.国内で訛りのある英語を耳にすることはなかなか出来ませんが,最近はYouTubeもあるので,大学の講義などを見ることは出来ます.いずれにせよ,リスニングは不可欠だと思います.