電子書籍出版にアタリショックが来る?

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一部分担の形ですけど専門書の書籍を執筆することになっています.

その準備をする過程で知ったのは.論文と異なり出版社の査読が一切ないということ.つまり,極端なことを言えば,自分の好き放題の内容で書いたとしても,誰もストップをかけてこないということです.

小説などはガンガン内容のチェックをしてくると思いますが,専門書だと良し悪しがなかなか専門外の人には評価ができないからでしょうね.

だけど,出版した後で同じ分野の方々からAmazonとかで書評が書かれるので,それが査読のようなもの.

だけど出版しちゃった後では直しようもないです.

期待の印税収入は?

データが古いけど,2002年度に東大出版で出した専門書(教科書)で,5000冊以上売れたものは全体の21.8%,1000冊以上でも60.5%だと言います.

東大教授の先生方が,ご自分の授業で必要だからと学生に買わせたら,100冊や200冊くらい売ることが出来るでしょう.そう考えると,全国で年間1000冊を売り上げるという数字をみるといかに「売れないか」よく分かります.

ちなみに,工学書だと1冊2000円くらいでしょうか(最近は薄い本が増えて来たのでもっと安いかもしれません).印税は10%と言われてるので,1冊200円.1000冊売れると20万円の印税収入

本1冊書き上げるのに費やす労力と時間を考えると,副収入としては大して期待できないようですね.だけど,書籍執筆は業績にカウントされるので,売り上げが少なくてもそれなりに意義があるのかなと思います.

電子書籍という方法

一方,最近の学生はタブレット端末やスマホで普通に勉強したり,ノートをとったりするので,そういう世代向けに電子書籍で出版するというのは時代的にアリなのかもしれません.

特に専門書だったら,動画や音声が書籍の中に埋め込まれていると内容によってはとても効果的です.そういう電子書籍ならではのメリットを享受できるのであれば,専門書の電子化も大賛成.

執筆側からしても,AmazonのKindleで電子書籍を出版すると印税が70%になるという話もあるのでとても魅力的(いろいろ条件はあるみたいですが).1冊1000円で売ったとして,もし1000冊売れたら70万円!これはすごい!(←俗人)

最近Amazonで素人が出版した本をよく見かける

ところが,最近Amazonの電子書籍検索をすると,とてもありえないようなクソ本をよく見かけるようになりました.

明らかにその道の素人と思えるような人が,自分の思いつきやネットで見つけたノウハウをかき集めただけの数10ページ程度の本が,定価500円程度で売られている.これらはKindle Unlimitedで大抵無料で読めるので,試しに何冊か読んでみましたが全くお話になりません.

なんでこういうものを目にするようになったのか私はとても不思議だったけど,よく調べるとしくみは簡単でした.Amazonの電子書籍(Kindle)は,誰でも気軽に無料で出版できるようです.

紙媒体の出版だと出版社側も初期コストがかかるので,売れそうにない内容は最初から拒否されます.その意味では世に出る前にチェックがなされてます.だから,本屋の書棚にあるものは「それなりの質」が担保されているとも言えます.(逆に,出版社に拒否されたけど,Kindleで大ヒットした本もあるようですが)

電子書籍は初期コストがかからないので,Amazonは内容を全くチェックしません.だからこのようなクソ本が増えてるんでしょう.

アタリショックが来るのではないか?

Amazonの電子書籍として専門書を出版しても書籍は書籍.業績には違いないのかもしれません.だけど,こんなクソ本で溢れているところで出版しても,全然評価されない時代がくるんじゃないでしょうか?

サードパーティの販売したクソゲーが蔓延して,一気に業界が縮小してしまった「アタリ・ショック」と同じ現象が電子書籍販売でも起きるんじゃないかと懸念します.

もっとも,当時のビデオゲーム業界と現在の電子出版業界は社会的位置付けが全く異なるので,単純比較はできないけどね.だけど,苦労して専門書をKindleで出版しても

「なぁんだ,所詮Kindleじゃねーか.岩波やシュプリンガーなら別だけど.」

などと言われる時代が来るかもしれません.どんな書籍でも受け入れるというのではなく,ある程度質を保証した書籍のみを販売するやり方をAmazonには少し考えて欲しいものですけどね.

と考察しながら,本日の現実逃避はこれくらいにして・・・

今日は日曜日.

そろそろ売れない書籍の執筆を始めようかな(笑)

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