社会人が博士号を取得する no.2 ー 院試は受験じゃなく就活 ー

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方法論は前回の記事をごらんください↓

今回は大学院選びと入試に関する話を.

社会人が博士課程に進学するには,

「自分がどういう動機で博士号を取得し,取得後に自分の仕事にどう生かしたいのか?」

ここのところを明確にすることです.面接でも必ず質問されます.ここが曖昧な人は受かりませんし,受かったところで後々自分が困ることになります.

私の知り合いで中学校の先生がいるんですが,仕事が嫌で嫌で辞めたがっていた.そんな彼にとって研究は

「自分の好きなことをして働ける職種」

と思っていたらしいです.研究職って実際はそんなに甘いものではないのですが,彼はそう思っていたようです.実はこういう人って結構多いので,大学の先生方もすぐ分かります.

だけど,彼はもともと頭がよいので,まずは修士課程の社会人特別選抜を受験し小論文(1次試験)は合格しました.

まさか自分が受かるとはと本人も驚いていたんですが,私はそれを聞いてまずいなーと直感しました.なぜなら,大学院入試は受験」というより「就活」に似てます.だから当然ですが,

  • 入学後にどんな研究をやりたいのか?
  • 博士を取得後に何を目指しているのか?

これらを明確にしておかないと,動機があやふやではいくら小論文の点数がよかったとしても間違いなく落とされます.ましてや社会人ならなおさら.大学入試と決定的に異なる点がここです.

私はそのことを彼に助言しましたが,彼は小論文が受かったことに有頂天で,私の忠告は耳に入らなかったようです.

結局,面接で私の言ったことと全く同じ質問をされ,答えられなかったようです.面接をした教授の先生方から

「そんな曖昧な動機ではダメです」

と言われ,面接の場で延々と説教されたらしい.彼は中学教諭ですから就活の経験がなく,その辺の勘所がピンとこなかったのかもしれません.

結局,面接で不合格になってしまい大学院への進学は出来ませんでした.本気で行く気があれば翌年も受験すると思いますが,その時の面接がショックで諦めたようです.

おそらく,同じ大学院でも,教職大学院で学位を取得して中学教諭としてさらなる高みを目指すという動機だったら絶対うまくいったと思います.

だけど,中学教諭を辞める前提で自分の専門とは全く異なる「国際ナントカ大学院」いう流行を追い求めていたので,当然動機を疑問視されたのでしょう.

大学の偏差値や世界大学ランキングは無意味

大学入試の偏差値や世界大学ランキングなどを参考にする人もいます.だけど,大学入試の偏差値など関係ありません.なぜなら,研究する上で大事なのは,指導教員が誰なのかであって,大学名が重要ではないのです.

有名大学でも研究実績が乏しい先生もいれば,入試の偏差値が低い大学でも世界的な業績を残している先生もいます.ただ,有名大学になればなるほど研究業績を厳しく問われるので,全体で見れば優秀な先生方が多いのは確かです.

また,兵隊として働く大学院生も有名大学の方が総じて優秀なので,当然のことながら研究業績を上げやすい環境にあるのは確かでしょう.

でもそれは全体で見た統計に過ぎません.自分にとって主査となる先生は結局1人しかいませんから,その先生だけよければいいですよね?大学全体の統計など意味ないはずです.

ましてや世界大学ランキングなどは無意味です.ランキング上位を狙って

  • 女性教員の数を増やしたり
  • 外国人留学生をたくさん受け入れたり
  • 福利厚生施設を充実したり

など,研究とは関係ないことに力を入れている大学はたくさんあります.それ自体は悪いことではないですが,研究のレベルと何が関係あるんでしょうか?

大学側の人ならともかく,お客さんとなる我々がランキングの順位に目が眩んでは本末転倒.世界大学ランキングを決める基準は,研究業績だけでなく研究以外の要素も大きいことに気づくべきです.

結局,博士を取得して何がしたいのか?

何を研究して博士を取得し,その後の自分の将来をどのように描いているのか?そこをキチンと考えてないとダメです.当たり前すぎる話のように思えるかもしれませんが,実際は

「今の職が嫌で辞めたいから大学院へ進学する」

という理由で受験する人がかなり多い.

そもそも,博士号を取得したい動機が明確であれば,どんな研究をしたいのか明確になるし,どんな研究がしたいのか明確になれば,誰の指導を受けたいのか明確になるはず.

もし社会人で博士号を取得したいと思っているのであれば,そのことを明確に意識しておくべきです.

「研究」とはサイエンスの発展に寄与することです.

先ずはその意識がないと,たとえ入学出来て結果的に博士号を取得したとしても,あまり幸せな未来がやってくるとは思えません.

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